別に優しいとか、優しくないとか
強いとか弱いとか、どうでもよかった
総悟が沖田総悟だったから私は好きになっただけで

ノートに描いたハートマーク。
並べて二つ、おまけにもひとつ。

「うわ、歪な尻。」
「!?」

頭上から降ってきた声に突如として顔をあげたら頭に鈍い痛みが走った。

「…っ」
「ったァ…」

顎の下を赤くして目を細めたまま私を見下ろす総悟と どうしてもその総悟と目線を合わすことが出来ない自分がそこに居た。

「お前なァ朝っぱらからノートに尻描くとか、」
「ちちち違うから!これは、」
「はいはい欲求不満ですかィ?」

星が空から降ってくるみたいにきらきらとした笑顔をして、彼は私頭にチョップをした。 慌ててノートを手で隠したけれど、ばっちりとハートマークは見られていた。 朝から呆けて貴方のこと考えてたら、こんなことにはならなかったはずなのに。 数分前の自分に、これから起こる事を教えてあげたいくらいだ。頭がずきずきと痛む。

「尻じゃないもん」
「なんですかィ?」

私の方を覗きこんだ相手の近さに思わず吃驚仰天大騒ぎ。(どころじゃ済まされないくらい 心臓が飛び跳ねて、肩もびくんってなった)

「なななななんでもない」

変な奴。総悟はそう言って笑った。あっさりと身を引いて、今度はどうやら土方さんという 格好の餌食を見つけたらしい。一目散に「土方さんおはようございやすやすと階段から転んで死ねエエエ」 と、朝から教室に響き渡る声でロケットパンチをくらわしていた。

あの声で私の名前も呼んでもらえたら、なんて考えてる時点でもう末期だと思う。
私は、はあっと溜息に近いものを零して隠したノートをそっと見た。


(手持無沙汰な時って、なんか落書きしてしまいますよね。そんなおはなし)
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