すきってなに?すきってどういうこと?
だいすきって、どういうだいすき?









「総悟ダイスキー」
「ハイハイ」
「ちゃんと聞いてる?」
「聞いてますぜィ(そして便所の水の如く流してるけどな)」
「うそ。だってこっち見てくんないじゃん」
「…うっぜ」
「なんだとー!」

ぼそっと呟かれた総悟の言葉に過敏に反応したのは 机の上で頬杖をついたまま目線をまっすぐ向けている彼女、だった。 最近俺の言動が気になってしょうがないのか、 ちらちらとこちらを見ては溜息をつく。 正直、書類でいっぱいの散乱した部屋の中で こいつと二人。締め切りぎりぎりまで放っておいた紙切れたちと睨めっこする。 頭の中で土方のクソヤローの声が聞こえてくるような、そんな気がした。 やってられない。面倒くさい、何よりなんでこいつが部屋にいるんだ。 気が散ってしょうがねーじゃねェか根畜生。

「ちょっと、悪態つくなら本人いない時にしてよ」
「こりゃ失敬」
「むかつくううう!」
「大体アンタなんでこんなところ居るんですかィよい子は寝る時間ですぜィ」
「悪い子なんでいいんですはい」
「悪い子にはお仕置きが必要だと思いやすが」
「は」

ぽかんと口を開けてこっちを無防備にみる
だからそんな顔するな、と言ってやりたかったが、

「悪い子はどっち?」

に突き出された紙切れに、「始末書」の文字。
これはこの間吹っ飛ばしたビルの件についてのものだ。

「萎えた」
「萎えたのはこっちよ」
「うるせェ馬鹿
「煩いのは総悟でしょ」
「あーうるせェ」
「うっさい!」

「「うるさいうるさいうるさいるうるさいうるさい…」」

二人で天井を仰いで騒ぎ立てていたら、隣の部屋から壁ドンをされた。
息が続かなくなったが静かになった所を狙って、呟いた言葉。
鮮明に響く部屋に、俺の声と、の面食らった表情。

「好きな奴ほど憎さ百倍でさァ」









  
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