(お互いの首についてるもの)
「、何やってんのサ。」
「新八がどこか行っちゃわないようにと思って。」
情事の後、何を思ったのか彼女が突然俺の首に何かを巻きつけてきた。
それはとても冷たくて、ずしりと重い束縛の証。こんなのも、一体どこ
で手に入れたんだと聞いてやろうかとも思ったけど、どこか行っちゃわ
ないようにと思って。と穢れの無い瞳で言われたらどう言葉を返してい
いのやら。俺は迷って少し思考を巡らせた。普段の彼女なら決してこん
なことをしないはずだ。可笑しい、どう考えたってこんなの可笑しい…
「気でも、狂った?」
「失敬な!これでも意識はバッチリよ。」
「なら、どうして―…」
「……こうすれば、ほら。あなたは私のもの」
クスクスと楽しげに笑う彼女は、やっぱり可笑しい。
溜息をついて首輪に触れる。散らばった彼女の服とか、俺のシャツとかに
目を向けて先ほどの行為の愚かさを知る。一体、この子は何を感じてた?
満たされてもなければ、ただ、不安だったのか?じゃあ俺の気持ちは?俺
が求めてただけだったノ?ねァこんなん違うってことに気づいてヨ。可笑
しいだろ、どっちかが不安でそれを言わないで心で溜めるなんて。
(彼女をこんなにさせたのは、俺の責任だ)
「…こんなことしなくたって、俺は君のものでショ。」
いとも容易く、首輪を外すと彼女があぁ!と残念そうな声出す。
「それより…。」
「なぁに?」
「君は、誰のもの?」
ねェ、いつからだっけ。俺達がこんな風になってしまったのは。
もう一度確かめてみる?
(新八のものだよ、と彼女から聴く前に唇を塞いでやった)