「はっ…ぁ…ッ…」


がばり、跳ね起きた。
体を伝う大量の汗、びっしゃりと着物が張り付いて気持ち悪い。




「…ッ……最悪だ。」





悪夢だ。

呪いか?

俺が、何をした。 (…分かってるサ、でも現実は俺を赦さない。)



目が乾く。嫌な汗をかいたせいで、急激に体が冷える。
とにかく拭こうと思って立ち上がろうとすると、何かに体が当たった。


「ん…。」


ごろん、と寝返りをうったのは  …



「!」

「……れ、…しん…ぱ……。…も、…あさ?」



寝惚けまなこで聞いてくる彼女を見て、動作が止まる。
動けない、まるで体が金縛りにあったみたいに。
自分の鼓動だけがどくどくと打つ。




「新八…?どうかした?」




俺を変に思ったのか、眉を寄せて起き上がる




「ぁ…。」




あ、まで出たはいいケド。それ以上言葉が出ない。
またこれも夢なんだろうか、もう一度あの言葉を言われたら…どうしよう。




「新八、何かあった?」




もう一度が聞いて、俺の頬に手を伸ばしてきた。
とっさに身を引く。


「しん…」

「ごめん。」

「え…」

「ごめん、俺…」


淀んだ目できっと彼女を見てるんだろう。
少し戸惑ったようにが「怖い夢でも見た?」と言った。
躊躇ったけど、正直にうん。と頷く。
けどあの夢と同じ。だからまた怖くなった。



がまた、立ち上がって此処から居なくなるんじゃないかって。




「どんな夢だった?」




予想外の言葉に、きょとんとする。
ただ彼女は小首をかしげてこちらを見ている。




「手、…が。手がネ、繋げないんだ。」

「うん。誰と?」

「君と。」

「……なぜ?」

「滑るんだ…。なんでだろう。」



血で。とは、何故か言えなくて落ち着けたのか少しだけ笑うことが出来た。




「そっか、それは嫌な夢だね。」




そういって微笑むと彼女は  俺の手を取る。

生暖かい温もりが、じんわりと伝わった。








「新八の手は、きれいだね。」







同じ顔で違う言葉に、息を呑む。
なんて表情で、彼女は俺の手を奇麗だというのか。
何を根拠にそうやって言えるのか。

それは―…彼女自身が手を汚していないから。





人を殺めてきた俺の手が奇麗なわけがない。

誰も救えない、手。



「私はきっと、救われてる。」

「え。」

「この手に私は救われてるんだよ。」

「…が?」

「凄いね、人を幸せに出来る手があるなんて」


自分の手を見た。
絡まっているのは彼女の手。





「ね、奇麗でしょ?」

「君は―………」

「私には…必要なの。…お願いだから離さないで。」




痛い、と思うほどきつく 彼女は俺の手を握り締めた。










I love you from the bottom of my heart.

罪と罰を共有しよう





















































アトガキ*20061216
あなたは大人だから絶対に弱音をはかない。 そのくせ、自分で自分を追い詰めちゃうから苦しくなるんだよ。 私はどこにも行かない、あなたの傍から絶対に離れない。
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