「神威って弱いものとかあるの?」

に聞かれた。特別、何か、と聞かれれば思い浮かぶものもなく静かに俺は首を振った。 弱いとか、そういう言葉は好きじゃない。 俺は、俺の上に立つものを赦さない。それを潰して壊してぐちゃぐちゃにするまで 納得できない性質なのだから。

「俺は弱くなんてないからネ」
「そういう意味じゃなくって、」
「どういう意味にしろ、弱いなんて言葉は大っ嫌い」

お得意の笑顔を彼女に見せると、それ以上は何も言ってこようとはしなかった。 それはきっと触れてはいけない俺の領域だったからだろう。 察するのが本当にうまい女だと思う。

「神威は負けず嫌いなんだねぇ」

女は、目を細めて笑った。太陽を思い出させるような笑顔で。 (そこでやっと俺は気付いたんだ、)

は、あるの?」
「ん?何が、」
「弱いもの」
「…たくさんあるよ」

だって人間だもの、と俺に聞こえるか聞こえないかの音量で呟くと まるで血の違いを自ら突き付けるかのように顔をあげた。 でも妙に瞳の色が濃くて、射抜くように鋭い。一瞬ぞくりと身の毛が弥立つ。

「神威が居なくなっちゃうとすぐに私は壊れちゃうよ」
「ああ、本当に弱いネは」
「神威は強いね。だから、きっと」

きれいなんだね。が笑うと、一層太陽を思い出す。 俺が、弱いものをあげるとするなら唯一それではないだろうか。 だけどなんだか悔しいから苦手ってことにしといてあげる、なんて、 心の中で一人問答を繰り返し、彼女の髪をなでた。

「弱い奴に興味はないヨ」

そう言う俺の言葉に対して、太陽がぐしゃりと潰れるところが見たかったんだ。





黄泉の太陽





( あれ、結局何が言いたかったんだろうなあ私。太陽の話を書いたので次は傘の 話を書きたいです // 20091009 )
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