帰ってきたら冬獅郎が獣になっていました。

「何やってんのオオオ」
「何って、別に、」
「いや別にじゃないでしょう、ちょ、え、この事態は一体」

ついていかない私の頭。常識には一応対応した脳を持っていると 思ってたけど、この状況が全く理解できないでいた。

「俺だって好きでなったわけじゃねェよ」

その姿のままチッと舌打ちをした冬獅郎さん。 苛立っているのだろうか、耳がぴくりと、うご、動いた!?か、かあいいいいいいいいいいい!

「冬獅郎はそれでいいの?!」
「しょうがねェだろ、急に仮装大会するとか松本が言い出して」
「ああ、あのぼんきゅぼーんのお姉さま!」
「俺は何も用意してねェって言ったら、隊長のは決定してますよ。なんて 言われて」
「で、いざ着替えたらそれだったと」
「すーすーするんだよな、意外に」
「(そりゃあそうでしょう、てか股間に目がいく私の馬鹿アアア)」
「もう脱ぐ」
「ストップウウウウ!」
「…何だよ」

脳震盪を起こしたかのようにいきなり叫んだ私に彼は ものっそい怪訝そうな顔をした。うわあ痛い。 けどそんなこと言ってられないのだ、この姿をカメラにおさめない限りは。

「一枚写真撮っていい?(絶対待ち受けにするしイイイ)」

私は物凄い形相をしていたんだろう。 冬獅郎は引いたような顔をして「嫌だ」と一刀両断した。 ちょうなきたい。

「暑いし脱ぐぜ」
「ああああ、ちょっと待っ、」
「…!」

必死過ぎて勢い余り、彼を押し倒した形になってしまう私。 驚いた冬獅郎の表情に思わず萌え…じゃなくて心がときめきます。 カレンダーには十月三一日の文字。

「何してんだよ」
「ごごごごごめんなさいいい」
「まあ、いいけどな、どうせこうするつもりだったし」

はい?と聞き返す前に世界は逆転。 恐ろしいくらいの早業に目が点になる。 いつの間にか、肩まで脱いで露和になった冬獅郎の身体が飛び込んできた。

「丁度いいだろ?下は何も着てねェんだぜ」

どう突っ込んでいいかも分からず、ただ熱くなる頬に 彼が口付けを落とすまでの数秒。 今日が外国の御盆であるということに、やっと気がついた私だった。





Mr.Halloween


( あれって色々犯罪だと思いました // 20091031 )
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