おきたとーご、よんちゃい。おとーさんのなまえはそーご、おかーさんのなまえは、です。 ひちかたさん…じゃなくてひじかたさんにおしえてもらってひらがなをかけるようになりました。 (以下、見づらいので今から漢字自動変換でお送りしたいと思います。)

とーごは最近、よく女の人が部屋に浮かんでるのがみえるんだ。ぼく、怖いっす。 今日はお昼寝の時間に母上がご本を読んでくれたよ。でもぷかぷか浮かぶ女の人がにこにこ こっちを見て笑ってるから怖くて布団に潜り込んだ。すると母上は、とーごが寝たと思って出てっちゃったんだ…! 布団から顔を出すのが怖くて怖くて、ずーっともぐってたらいつの間にか寝てた。

うぐぐ、…

なんだか息苦しくなって、ぶはっと布団から顔を出すと目の前に女の人があった。

「ふっ、ふぎゃ…ぁ」
『あぁぁあ、統悟ちゃん泣かないで…!おばちゃん別に驚かすつもりは無かったの。』

泣きそうになった。なんでこの人はいつもとーごを見てるんだろう。 もしかして監視してるのかなぁ?いつも、いい子にしてるのにな。 あ、もしや、この前ザキの部屋に土方さんのマヨネーズ隠して犯人に仕立てあげたのがバレたのかも。 それとも糖尿病の家に遊びに行った時、わざとイチゴ牛乳床に落としたのがバレたのかも。

『ねえ、統悟ちゃん。貴方、今何歳?』

女の人は、とても綺麗だった。とーごの好きな神楽姐よりも、母上よりももしかしたら綺麗かもしれない。 でもこの人どこかで見たことがある気がした。

「……4ちゃい、」
『そう、四歳なの。道理で大きくなったと思った、小さい頃の総ちゃんにそっくり」

総ちゃん…?一体誰のことだろう、と思いつつ女の人をきょとんと見たらクスクスと笑ってとーごの傍に 寄ってきた。ぼくはやっぱり怖かったので少しだけ布団から抜け出して後ずさる。すると、女の人は悲し げに笑った。

『私はずっとあなた達を見守っていたのだけれど―…どうやら気づいてくれるのは統悟ちゃんだけみたい。』
「…とーご、だけ?なんで?母上も父上もお姉ちゃんのこと見えな…?」
『しょうがないことなのよ、きっと。統悟ちゃんもいずれ、私のことなんか忘れてしまうわ』

澄んだ声に何故だかぼくの緊張も解けて、まるで母上と話しているようなそんな気持ちになる。 この人はやっぱり誰かと似ていて―…でも僕は誰なのか分からなかった。それがもどかしくて 少しだけ切なくなる。

「おねえちゃんはずーっと、ぼくたちをみまもってくれたの?」
『…そうよ、統悟ちゃん。あなたたち、全員を』

するとふわりと浮かび上がってこちらに寄ってきたお姉ちゃんは、とーごの頭を手で撫でた。 あんまり実感は沸かなかったけど、触れられたそこの部分はほんの少しだけ暖かくてくすぐったくてぼくは笑ってしまう。 お姉ちゃんは驚いたような顔をするとすぐに嬉しそうな表情に戻った。その顔が母上を見る時の父上にそっくり で、…あ!分かった。このおねーちゃん父上に似てるんだ…!

「おねーちゃん、ちちうえにそっくり!」
「俺がどうしたって?…お前、起きてたのかィ」

声のした方を振り向くと部屋の障子を開いて父上がこちらを不思議そうに見ていた。

が手作りオヤツ作ったらしーですぜ、覚悟しとけよ。」

げ、っと思う。父上が部屋にやってきた理由は、母上がオヤツを作ったからそれを食べろ。ということ。 母上の料理は美味しい時と不味い時があるから困るんだ。

「きょう、あたり?」
「残念。クッキー焦がしてやがったんでハズレでさァ。」

父上はクスクスと笑った。その表情がさっきの幽霊のおねーさんにそっくりで、そこでぼくはおねーさんの 存在をはっとして見た。しかし部屋中の何処を見渡してもお姉さんの存在はない。

「ねー、ちちうえ」
「あ?」
「ちちうえのおかあさんってどんなひと?」
「……またお前突拍子もないこと聞くんだねィ、…覚えてねェな。俺が物心つく前に死んじまいやしてねェ。 最も、姉が居たんで育ててくれたと言っても過言じゃねーや」
「あね…おねーさん?!」
「おう、本当何でィ急に」
「え、あ、う…あの、ね。さっきおねーさんが言ってた。見守ってる、って。」
「…姉上が?」

父上がその時何を思ったのかは、分からない。一瞬だけ眉を寄せたあと、ふっと笑うと僕の頭をぽんと叩いた。 夢で姉上と会えるなんざァ羨ましい。と一言だけ僕に言うと、寝ぼけていると思ったのか父上はとーごを抱き上げた。 一人で歩けるよ、と言いたかったけど今は父上にぎゅーっってしたかったから黙ってた。

「…何でェ、甘えてんですかィ」
『統悟ちゃん、総ちゃんに伝えてほしいことがあるの。』

父上の背後に立っていた父上のおねーさん。ただ吃驚して目を丸めた。

『これからも私はずっとあなたたちを見守るから、あなたはあなたの進むべき道を後悔しないように進みなさい。』
「これから、もわたしはずっとあなたたちをみまもりゅから、あなたあなたのすすむべきみちをこーかいしないよーにすすみなしゃい。」
「あ?…統悟?」
『総ちゃん、私はね、あなたの傍にいた。貴方達家族を見守ってた。だから安心、して。今凄く幸せなの。」
「そーちゃん、わたしはね、あなたのそばに―「あね…うえ?」

とーごの言葉を遮った父上は焦ったようなそんな声色だ。何を父上が感じたのかなんてぼくには分からない。 けど父上は振り返って「そこに居るんですかィ?」と消えそうな言葉で紡いだんだ。

「姉上、俺ァ…」
『総ちゃん、私は総ちゃんが幸せそうで本当に良かった。』

とーごが見た時のおねえちゃんは満面の笑みを浮かべて微笑った。 その顔はやっぱり父上とそっくりで、ただなんだか見ちゃいけなかったんじゃないかと少しだけ父上の肩に顔 を埋めてそうっとおねえちゃんを見つめてた。 父上はおねえちゃんに気づいているのかな? さっきから黙って何も言わない父上を見ると、ふっと微笑ってとーごの方を向いた。

「さァ、行きやすかィ。のところへ」
「…ん。」
「待たせたらアイツまたうるせェからなァ、」

部屋から出て障子を閉めようとした瞬間だった、

「姉上、俺ァ幸せですぜ。」

父上は背を向けて一言。ぼくは父上の背越しに見たんだ。(綺麗に笑う笑う父上の姉上、)(幽霊さんを、)




Ave Maria
私も幸せですよ、総ちゃん。
inserted by FC2 system