ただ一つ、明確だったこと。アイツと私の関係。それは・・・

”仲間”

たいせつな、たいせつな
命と同等の価値がある、仲間。

「よし。風向き、気圧ともに安定してきたわね。」

見渡せば広がる、グランドライン後半の海。”新世界”と呼ぶに相応しい、海。私たちにとって2年という時間は、あっという間で、でも長くて、それでも再会してしまえばその時差など全く感じさせないほどの距離。ああ、これが、私の”仲間”だ。

「船長。」
「なんだ、ナミ。」
「・・・なんでもない、」

屈託ない笑顔で、新しい冒険の始まりにわくわくが止まらないらしい。この男は、この空白の二年間、一体何をしていたのだろう。鍛えられた腕と、身体、小麦色に焼けた肌を見ればわかるのだけれど・・・。聞きたかった。ルフィの口から。ねぇ、大切な人を失ったとき、どんな気持ちだった?・・・なんてホントは一番わかってるくせに。私も、きっと他の仲間たちも。大切な人を失う痛みは、私だけじゃない。みんな、知ってる。

「なんだよ」
「なんでもない!」

あんたがいいなら、それでいいの。私が泣くのはおかしいでしょ。
必死に作った笑顔は、不恰好だったのかもしれない。ルフィは、怪訝そうな顔をして首をかしげて「変な奴。」とだけ呟いてはまた、前を向いた。バカだなァ、私。何がしたいんだろ。

「そういえば、お前どこに居たんだ?」
「私?私は、「おい!野郎ども、メシだぞ!!!」

響き渡る、サンジくんの声に「肉ー!!!」と、ルフィは走り出した。振り向きもせず、前だけ向いて。

「ったく。人の話は最後まで聞きなさいよね」

呟いたつもりが、大きな声で嫌味ったらしく言ってしまった。は、っと口を閉ざそうとしたけれどもう遅い。ルフィがぐるんとこちらを振り返った。

「まァどこに居ようが、お前がおれんところに帰ってくるならそれでいい!」

あっきれた。私、いま、たぶん変な顔してる。でもあんたは、そんなちっぽけなこと気にしてない。あっさりと飛び越える。だから、惚れたの。最後まで付き合うわ。




パトロンは嗤う
(最終地、ラフテル。)(目指すはワンピース)




2015.6.14 男前な船長。前しか向かない船長。それについていく航海士。
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